京都地方裁判所 昭和61年(わ)200号 判決 1986年5月21日
本籍並びに住居
京都市伏見区向島鷹場町一四番地
会社役員兼農業
山田宏
大正一五年七月三〇日生
本籍並びに住居
右同所
会社役員
山田裕信
昭和二五年二月五日生
右両名に対する相続税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官肱岡勇夫、弁護人(私選)山本浩三各出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人山田宏を懲役一年六月に、同山田裕信を罰金三〇〇〇万円に処する。
被告人山田裕信においてその罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。
被告人山田宏に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人山田宏は、山田吉之助の長男、被告人山田裕信は被告人山田宏の長男で右山田吉之助と養子緑組をしたものであるが、被告人両名は、全国同和対策促進協議会京都府連合会本部会長笠原正継、同連合会事務局長黒宮功らと共謀の上、右山田吉之助が昭和六〇年二月二六日死亡したことに基づく被告人山田裕信の相続財産にかかる相続税を免れようと企て、被告人山田裕信の実際の相続財産の課税価格が三億八、六一九万八、〇七五円で、これに対する相続税額は一億四、二九七万二、四〇〇円であるにもかかわらず、被相続人の右山田吉之助が右全国同和対策促進協議会京都府連合会本部から三億一、〇〇〇万円の債務を負担しており、被告人山田裕信において同債務を全額承継したと仮装するなどした上、同年八月二〇日、京都市伏見区鑓屋町所在所轄伏見税務署において、同署長に対し、被告人山田裕信の相続財産にかかる課税価格が七、七〇六万三、〇六三円で、これに対する相続税額は一、七四九万六、五〇〇円である旨の内容虚偽の相続税の申告書を提出し、もって不正の行為により被告人山田裕信の正規の相続税額一億四、二九七万二、四〇〇円との差額一億二、五四七万五、九〇〇円を免れたものである。
(証拠の標目)
一 被告人両名の当公判廷における各供述
一 被告人山田宏の検察官に対する供述調書(検24・24・25・26)
一 被告人山田裕信の検察官に対する供述調書(三通)
一 山田まさ代、北岡里子、笠原文代、山田ヨシ子(二通)、山田吉幸、川勝武(二通)、笠原正継(三通、謄本)、黒宮功(謄本)及び中田久弘(謄本)の検察官に対する各供述調書
一 大蔵事務官作成の証明書及び脱税額計算書
一 京都市伏見区長作成の戸籍謄本(検3)
(法令の適用)
一 被告人山田宏につき
判示所為
刑法六五条一項、六〇条、相続税法六八条(懲役刑選択)
執行猶予
刑法二五条一項
二 被告人山田裕信につき
判示所為
刑法六〇条、相続税法六八条(罰金刑選択)
労役場留置
刑法一八条
よって主文のとおり判決する。
(裁判官 松丸伸一郎)